月が夜空に空いた穴のようにカズミを見下ろして

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 カズミはゼンジの隣に屈んで、ゼンジの顔を覗き込む。 「──ごめんね」 「──ごめんなさい」 カズミとゼンジは、同時に謝って、その声が微かに調和した。 ゼンジが首を傾げ、言う。 その色白の頬が、緊張で淡く紅潮している。 「謝られるようなこと、あったかな?」 「小狐……、私の所為で逃げちゃったでしょ」 「どうして、橘さんの所為なの?」 尋ねながら、ゼンジは色素の薄い色をした目を細めて、小狐が消えた薄野原を見遣った。
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