二〇二六年十二月 「手榴弾が爆発するまで最短で

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「これより投擲訓練に入る!」 教官に従って、同じく東防中第三小隊に編成された、橘カズミが率先して位置についた。 背負ってきた背嚢から手榴弾を取り出し、広大な草原に隠れた的を狙う。 的に当てるのでは、的が人間であった場合に投げ返される可能性がある。  カズミの黒く長い髪が、冷たい風に小さく震えた。  訓練で命を落とすことは稀だが、東都防衛学院は事件に巻き込まれ既に二十人以上の生徒が死亡している。 相成って、中等部もより実践的な訓練が行われることになったと言われる。  実践に於いて、訓練は生き残る糧となる。
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