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「総員、第二安全ピンまで開放!投擲!」
カズミは的を見据え、手榴弾の安全ピンを抜く。カズミの鋭い眼光に迷いはない。
誰よりも早く、誰よりも確実に、何事にも一番の成績を残したいという思いが、カズミを駆り立てていた。
爆発のギリギリまで握り締めて、投げたカズミの手榴弾は、大きな弧を描いて、的の数メートル手前に落ちる。
訓練に倣って、カズミは地に身を伏せる。
手榴弾が地面に接地する僅かな間に、轟音と噴煙が上がり、的が倒れた。
隊員の持つ全ての手榴弾は、轟という音を立てて地で爆発した──はずだった。
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