二〇二六年十二月 「手榴弾が爆発するまで最短で

4/8
前へ
/39ページ
次へ
「総員、第二安全ピンまで開放!投擲!」  カズミは的を見据え、手榴弾の安全ピンを抜く。カズミの鋭い眼光に迷いはない。 誰よりも早く、誰よりも確実に、何事にも一番の成績を残したいという思いが、カズミを駆り立てていた。 爆発のギリギリまで握り締めて、投げたカズミの手榴弾は、大きな弧を描いて、的の数メートル手前に落ちる。 訓練に倣って、カズミは地に身を伏せる。 手榴弾が地面に接地する僅かな間に、轟音と噴煙が上がり、的が倒れた。 隊員の持つ全ての手榴弾は、轟という音を立てて地で爆発した──はずだった。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加