深窓の姫君

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「姫君様、本日も殿方から恋文が山のように参っております」  嬉しそうに騒ぐ、右近の君をよそに、わたくしは憂いに沈んでおりました。 「姫君様?」 「え?…ああ、そちらに置いておいてちょうだい」  わたくしは、天下人と呼ばれる夕霧の右大臣と、藤の典侍の間に生まれましたが、母が御所仕えをしている為に、幼い頃より、夕霧のお父様の側室でいらっしゃる、落ち葉の宮様…かつて女二の宮様とお呼ばれになられたお方の元で養育されました。
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