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「ジェイル様とジェラルド様ですね。では、あちらの赤い扉へどうぞ」
受付の左横には赤と青の扉があり、右側には事務所があった。
二人は一番左の赤の扉へと入っていった。内部にはさまざまな彫刻や絵画が展示され、微妙に暗い明かりが不気味な雰囲気を助長していた。受付から受け取った地図によると、柱を部屋が囲んでいるような配置になっているらしい。
特に複雑な地形でもないので、二人はそれぞれ反対の方向に歩き出した。
「あ~…不気味だわ~…特に怪しいものは無いって言うか、全部怪しいというね…俺には何を見れば良いかぜんぜん分からんな」
一応全部詳しく見ているが、見れば見るほど怪しいものばかりだ。パンフレットによると、この美術館にはゲルテナという芸術家の作品が展示されているらしい。
しかし、『せきをする男』とか『苦痛の果実』とか『吊るされた男』という作品と作品名を見る辺り、まともな精神を持ち合わせていなかったようだ。
「やけにえぐい作品ばっかだよなぁ……ん?」
柱の方向に何か赤い丸が見える。近づいてみればそれはボタンだった。
「これは……押さざるおえない!当然だな!」
右手のひらでカチッとな……とやってみたところ、柱の左側で何かが動いたようだ。確認に行ってみれば、柱に通路らしきものがあった。
「これ隠してるつもりか…?」
入ろうとしたときにジェラルドも追いつき、二人一緒に狭い通路に進んで行った。
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