いつも心にキミがいた

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「あ、そうなの?じゃあオレも混ぜて。まだ誰も友だちいないんだよね。オレは佐多友陽(さたともや)。トモって呼んでね。」 あたしの席に左腕をのっけてニコニコしている。由実との距離よりやたらと近い。 …すごく馴れ馴れしいと感じたのはあたしだけなのかな。嫌って訳じゃないんだけど……うーん…苦手かも…。 「あたし木嵜由実子。でこっちが佐倉美羽。よろしくトモ。」 慌ててあたしも自己紹介。 「美羽です。よろしくトモくん。」 サクラちゃんって呼ばれないように、敢えて名前だけ名乗った。 「由実子ちゃんに美羽ちゃん、よろしく。」 その後、なんとなくの流れで三人で自分のことを自己紹介し合った。 由実は、少し前にこの短大の近くにアパートを借りて住み始めたこと、実は介護福祉士になるために別の短大に通って資格を取ったけど、幼稚園の先生にもすごく興味がありこの学校に来たことを話してくれた。 だからあたしより2つ年上。 トモくんは、この短大の寮に二週間位前に入ったこと、その二週間の間毎日のように物珍しさで出かけまわってたこと、寮はかなり自由なところで住みやすいし先輩もよくしてくれてることを話してくれた。今日、新たに一年生が二人、寮に入ってくるらしい。歳はあたしと同じ。 あたしは、ちっちゃい頃から先生になるのが夢でこの短大に来たこと、実家から一時間以上かけて電車通いをしていることを話した。 …これがトモとの出逢いだった。
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