或る日

5/6
前へ
/18ページ
次へ
アンティエットは、来る日も来る日も、 朝から晩まで、あの穴のことを考えなくてはいけませんでした。 カップに珈琲を注いでいるとき、 花瓶に飾った花の テーブルに落ちた花びらを集めているとき、 いい匂いをたてて チキンが焼けているとき、 ふとした瞬間に、 いつもアンティエットは、 穴のことを思い出すのです。 その度に、恥ずかしいような 恐ろしいような気持ちがして、 大きな声で叫んでしまうこともありました。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加