疑惑の目

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 二葉さんとあれだけ喋っていたのが嘘のようだ。  あれから数日。  いや、もっと経った。  今だってお互いにきちんと登校して、こうやって授業を受けてる。  後ろから二葉さんを見る。  教科書とノートを開き、まるで優等生のような姿勢だ。  いじめや嫌がらせがどの程度かは、すでにわからなくなっている。  最初の頃は、多少のレベルしかなかったみたいだけど。  きっかけは二葉さんの不可思議さと気味悪さ。  それらが合わさって近寄りがたさを生み出している。  それとこの優等生っぽいところもそうなのかもしれない。  ちなみに今は古典の授業で、最初の時間は中間テストの答案返しだった。  俺は平均点にプラス十五点だったけど、二葉さんはどうだったんだろうか。  見た目通り、頭がいいんだろうか。  後で聞いてみようかな、と実現できなさそうなことを考えてみた。
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