疑惑の目

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 それもそのはず。  勉強第一の学校では、ほとんどの運動部はあまりいい成績ではない。  バスケも、野球も。  そんな経歴だからこそ、今年もそんなんじゃないかと思ってしまう。  部外者の俺がそうおもうんだから、当事者たちはどうなんだろうか。  ……こんなこと、間違っても村上たちには言えない。  会話の節目に何気なく辺りを見渡す。  教室に残る生徒は半分以下ってとこか。  食堂で食べたり、陽介のような人もいれば、もうグラウンドで遊ぶ人もいるわけだ。  昼に練習する部活もあるだろうし。  なんてことを考えていたら、二葉さんの後ろ姿が目に入った。  いつも通り、一人で食べている。  横にいるのは白いモヤ。  たぶん如月。  貞子……さんはいなかった。  貞子さんは滅多に学校に来ない。  そこには何か理由があるんだろうか。  でも、ちょっと聞きづらい(二葉さんに訊くしかないし)。
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