疑惑の目

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 おそらく俺にしか視えない二人は、奇妙な空間を築いていた。  回りには机や椅子を最低でも一つは離されている。  そこで昼食をとるクラスメート。  ……複雑な気分だった。  ただ、これはいつも通りのこと。  なにしろ原因はお互いにある。  「なあ。あれはどうしたらいいんだとおもう?」  顎(あご)で指す。  「……時間だな」  村上は思ったよりも早く答えを返してきた。  「第一、向こうにその気がなさそうに見える」  「そこなんだよなぁ」  その勘が当たってるから困る。  村上の言うように時間が解決してくれるならありがたい。  もしくはこのまま何もなければいい。  その場合、何も残らないけど。  二葉さんと幽霊。  中途半端にしか視えない俺は、どうあるべきなんだろうか。  すでにお互い、出発点が違ければ立場も違う。  (幽霊……か)  結局は共通点の幽霊が問題だ。  …………そういえば、幽霊で思い出した。
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