疑惑の目

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 でも、これが普通なんだとおもう。  実際に幽霊に会うと、びっくりしたり、恐怖したり、奇妙だったり。  なんだか人間みたいなところがある。  ていうか幽霊が怖い、だなんて先入観を持たせたのは、一体誰なんだ?  ほんと余計なことしてくれた…………。  「ねぇ、テストどうだった?」  横から話しかけてきたのは東。  こんなこと言うのもあれだが、申し訳ないことに下の名前を忘れた。  「部活やってる人間に訊くのか」  そう村上は言う。  真面目だから、勉強に割く時間は少なくてもしっかりやってそうだけど。  「いや、あたしもなんだけど」  「ママさんバレーだっけ」  「部活だっての!」  冗談は通じなかったようだ。  委員長がバレーボール部所属なのは、クラス全員が知っていることだ。  しかし、テストね。  「ていうか陽介は?」  二人しかいないことに今更気付いたみたいな言い方だった。  「ミーティング。そっちはどうだったんだ?」  村上が訊き返した。  それはマズイ。
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