疑惑の目

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 そうなると、むしろ俺は?  勉強してなかったわけじゃないけど…………そんなにした覚えもなかったな。  ならしょうがないか。  そう思いながら、東が消えていった教室のドアを見つめる。  ……ていうか、それよりも。  ちづるっていうのか……。  東ちづるが俺たち二人のもとから離れてすぐ、村上はミーティングに行った。  「じゃあ行ってくる」  陽介とは違って、愚痴一つ言わない。  性格の違いって、こんなとこに出るんだな。  残りの昼休みは特にやることもないので、売店に行くことに。  その前に……。  「なあ。まだパンとか売ってた?」  いつも買い食いしてるやつがいたので、訊いてみた。  「まだあるんじゃないか? 残りものにこだわらないなら」  「そっか。サンキュー」  村上が出てすぐ、俺も教室をでる。  たまに弁当だけじゃ物足りなくなるときがある。  そんなときはたいてい、コンビニ感覚で食料を調達してくる。  さっき言われた通り、もういいのは残ってなさそうだけど。  地味な確認作業だけど、一応訊いとかないとな。
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