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五階にあたる屋上に出ると、意外と人が多かった。
(そろそろ減る時期だとおもったのに……)
ベンチは全部埋まり、あぶれた人はその場で立ったり座ったりしている。
キョロキョロと見回した後、定位置につくことにした。
「…………ん?」
そのとき、知った人が目に入った。
それは二葉さんだった。
衣替えが訪れてもまだブレザーのままで。
髪は肩より少し長く、一切染めてはいない。
風でなびくのも構わず、左手はフェンスを握っていた。
なんだか珍しそうな画なので、近付いてみる。
その途中、誰か生徒が通り過ぎていった。
もちろん二葉さんの横も通って。
すぐ近くにはベンチもあるが、誰かを避けるような態度はない。
二葉さんを知らない人が多い屋上は、さっき教室で見たような空間は形成されていなかった。
二葉さんの隣までくると、そのままフェンスに寄り掛かる。
「……………………」
一方の二葉さんは、微動だにしない。
全く。
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