日常の中の非日常(神楽)

3/8
前へ
/308ページ
次へ
 「……………………」  自転車を漕ぎだして間もなく、道路の端にソレはいた。  ただコレが幽霊かどうかは、はっきりとはしない。  この前幽霊の子供達にあったばかりだが、姿形が視えた彼らとコイツは違った。  かといって如月や貞子さんの例もあるけど。  今目の前に存在しているのは茶色い煙のようなもので、人ほどの高さと横幅だ。  なおかつ、周りの景色がゆらめいている。  普通なら驚くところだが、この前の一件以来もう慣れてしまった。  二葉さんは、最近幽霊が多いようなことを言っていたが、確かによく視るようになった。  本当は短期間に多くの幽霊に遭遇し、会話までしたせいかもしれないけど。  「はぁ~」  おもわずため息をつく。  これが俺の望んだ日常なんだろうか。  とりあえずコレは無視だ。  幽霊だろうがなんだろうが、今はそんな場合じゃない。  漕ぐスピードを上げて、すぐ横を通り過ぎていった。
/308ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加