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人生で幽霊に遭遇する確率は、普通はほとんどない。
まあ幽霊以外も視野に入れるとして。
いったい俺はいつまでこんな状態が続くんだろうか。
学校に着いたとき、校舎の大時計は五分前だった。
……予鈴の。
予想より早く着いてしまったので、もうちょっとゆっくりくればよかったと後悔しつつ、自転車置き場に向かう。
あまり立ち寄る機会のない場所だが、こざっぱりとした感じだ。
自転車を置くスペースについては杞憂(きゆう)だったみたいで、一人分追加されてもまだ余裕はありそうだった。
「おはよう」
声がしたほうを振り向くと、うちのクラスの委員長だった。
「いつもは神楽くんのところなんだけどね」
何故か残念がっていた。
……そんなこだわりがあったのか。
仕方なくオレンジの自転車を、隣のスペースに入れていた。
お互い自転車を入れ終えると、「それじゃあ教室いこう」と言われた。
並んで歩きながら、ちらりと隣を見る。
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