日常の中の非日常(神楽)

4/8
前へ
/308ページ
次へ
 人生で幽霊に遭遇する確率は、普通はほとんどない。  まあ幽霊以外も視野に入れるとして。  いったい俺はいつまでこんな状態が続くんだろうか。  学校に着いたとき、校舎の大時計は五分前だった。  ……予鈴の。  予想より早く着いてしまったので、もうちょっとゆっくりくればよかったと後悔しつつ、自転車置き場に向かう。  あまり立ち寄る機会のない場所だが、こざっぱりとした感じだ。  自転車を置くスペースについては杞憂(きゆう)だったみたいで、一人分追加されてもまだ余裕はありそうだった。  「おはよう」  声がしたほうを振り向くと、うちのクラスの委員長だった。  「いつもは神楽くんのところなんだけどね」  何故か残念がっていた。  ……そんなこだわりがあったのか。  仕方なくオレンジの自転車を、隣のスペースに入れていた。  お互い自転車を入れ終えると、「それじゃあ教室いこう」と言われた。  並んで歩きながら、ちらりと隣を見る。
/308ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加