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「うーん、せいぜい三日?
そんぐらいで消えるなぁ……。
あの鰭を剥ぎ取れたらもっと稼げたのに……。」
報酬を手に、ギルドガードナー集会場の手近な椅子に腰掛けたフラウ。
報酬は、少しばかり心許ない事が多い。
そういう時は、なにか魔物の討伐依頼の時など、討伐した魔物の身体の有用な部分を剥ぎ取り、売り捌いて生活の足しにするのが常。
彼は仲介料を取られない術を使ったのだが、やはり報酬金は心許なく、今回は水竜から何も剥ぎ取れなかった事もあり、少し稼ぎ不足といった所だ。
懐から革袋を取り出し、フラウは報酬の金貨を中に突っ込むと、それを懐に仕舞い直し、椅子に深く腰掛ける。
「あ~……早めにもう一つ依頼をしねぇと……。」
何とも気怠げに呟くフラウ。
少なくとも、彼にはこの報酬金、三日ですっからかんになるために、再び三日以内には何か依頼を受諾しなければ、ゆくゆくは餓死してしまう。
「む、フラウじゃないか。
珍しく優れない顔だな……。
あまり稼げなかったのか?」
椅子に身を沈めてぶつくさ文句を垂れていたフラウ。
そんな彼の向かいに、一人の女性が現れ、向き合うように椅子に腰掛けた。
「おう、リネア。
全くもってその通り。
三日で無くなる金額しか稼げなかったよ。」
向かいにきた女性。
彼と彼女はどうやら顔見知りのようだ。
フラウは彼女を、"リネア"と呼んだ。
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