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「そうか。
しかし、普通のガードナーからすれば、三日分を一つの依頼で稼げるのは、十分過ぎるぞ?」
女性……リネア・ヴィンセントは不満そうなフラウを見て、苦笑しながら言う。
彼女は、黒い長髪に芯の通った様な、凛々しい目付きに青い瞳。
美人と言うに相応しい端麗な容姿に、何処か格好良さを感じさせる……、フラウと同じガードナーの一人である。
後、ガードナーの報酬金は些か心許ないと先程記述したが、フラウのおよそ生活費三日分の報酬。
実は、全体の依頼の中でも、これは中々の報酬である。
その分、不相応の困難な依頼であるのだが……。
「ちなみに、何の依頼だったんだ?」
「……ヨーヴィル湿原に現れた魔物、牙水竜・レイジングフレジアスの討伐依頼。」
「レイジングフレジアス。
気性の荒い水竜種か……。
……一人でか?」
「もちろん。
山分けとかは好かないし。」
「一人で竜種を討伐……。
やはり、目茶苦茶だな、お前は。」
改めてフラウが討伐した水竜について説明しよう。
水竜はその名の通り、水に主に棲息する竜種の魔物である。
竜種は、いずれも強靭な身体に、気性の荒さや穏やかさこそあれ、非常に高い戦闘力を秘めている。
彼が討伐した水竜、牙水竜・レイジングフレジアスもそうだ。
非常に高い戦闘力に強靭な身体。
加えて強い闘争本能を持ち、気性が荒い。
半人前のガードナーならば、間違っても勝てるどころか、命すら危ない。
一人前のガードナーでも、複数人で倒せるかどうかである。
それをフラウは単身で危なげなく撃破した。
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