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リネア・ヴィンセントも、ガードナーとしての評判は悪くない。
軍刀と、魔導銃と呼ばれる自身の魔力を魔弾として発射する武器を用いて戦う彼女。
彼女のいるガードナー団体は、ほぼ確実に普通ランクの竜種は討伐出来ると、依頼人の間では言われている。
名指しの依頼も、ごくたまに来る程だ。
十二分腕の良いガードナーと言える。
「……で、今から依頼か?」
「ん、あぁ。グレイブル草原を通る大規模行商集団の護衛の依頼だ。」
グレイブル草原。
ヨーヴィル湿原とは逆の方位に位置する、広大な草原である。
数多の小動物が棲息し、セオールでもっともワイバーンが棲息している地域である。
「……グレイブル草原を通るったぁ、勇気があるな……。
あんな草原で行列作るなんざ、格好のワイバーンの獲物じゃないか。」
「……あぁ。
だからこその私達だ。
あの行商集団、私の他にも腕の良いガードナーを何人か雇っているらしい。
向こうも危険は承知なのだろう。」
グレイブル草原は、広い草原故に、身を隠す場所が少なく、空も開けている。
空を翔けるワイバーンからすれば、これ程過ごしやすい環境は無い。
大規模な、移動に時間がかかる格好でこの草原を横切るのは、ワイバーンのお手軽な獲物にしかなりえない
フラウはリネアの話を聞きつつ、口を挟みさえしなかったが、あまり表情は優れなかった。
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