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馬鹿馬鹿しいと思っている感情があからさまに顔に出ていて、周辺の者は目を合わせたく無いとでも言うかのように逸らしている。
「ここは有名と言えば源義経の妻の護王姫の墓があったりとか大凧くらいだ。今ある歴史を全く違うものに塗り替えようとするなよ」
龍斗の言うことは間違っていなかった。
しかし、
「分からないぞ。歴史というのは時間を重ねるごとに現れ、変えられていく。
常識を正しい、と決め付けていたら何も信じることができない。
新しいものを信じることで見えてくるものがあるんだよ」
"常識を正しい、と決め付けていたら何も信じることができない"
その言葉は龍斗に深く突き刺さった。
(……考えを一新してみるのも悪くはねぇか…)
「わーかったよ。で?何すりゃあいいんだ?」
「おっ!授業をちゃんと受けてくれるか!」
嬉しそうに頬を緩め、彼は先程配った五枚の絵を黒板にマグネットで貼り付けた。
「俺は朝ニュース見て…とあることに気付いた。
この絵にはな、幾つかの共通点がある。おかしな部分もある。
それを今から五分の間に見つけてくれ。…では、スタート!」
(……共通点と奇妙な点か。簡単じゃねえか)
社会用のノートの適当なページの右下に【気付いたこと】と書き、スラスラと思ったことを綴った。
・全てに幾つかの黒の点が書かれている
・黒の点はそれぞれ数が違う
・鍬を持った武士がいる
・格好が奇妙
「これくらい…かな。センセ、終わったぜ」
「どれどれ……。おお!凄いなお前!少しは見直したぞ!当たりだ!!」
(少しとか余計だっつーの!)
バンバンと背中を叩きながらだったが、褒められて悪い気はしなかった。
暫くして、五分が過ぎた。
「上条の回答を参考にさせてもらうが…。全てに幾つかの黒の点が書かれている、黒の点はそれぞれ数が違う、鍬を持った武士がいる、格好が奇妙…
そんなことが書いてあればオッケーだ」
すると、龍斗が口を開く。
「センセ、それで?その共通点は何を示してるわけ?」
「………分からん!!!」
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