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──雨の日はいつも俺に、幸運か不幸を運んでくる。
一度たりとも願ってたことがないのに、それが当たり前かのように。
学校帰り、鉛色をした暗雲とした空から、ポツポツと水が降り落ちてゆく。
幸いにも折り畳み式の傘を一本所持していたので、学校指定の鞄から取り出して広げる。どうやら濡れずに家へ帰ることが出来るようだ。
閑静な通学路。時間的にはもう世間様は晩飯でも食べている時間帯、故に今の通りに人は居ない。
無言で帰るには少々物寂しい。なので制服の胸ポケットに忍ばせてあるウォークマンのイヤホンのコードを伸ばし、耳に付けて音楽を流す。
丁度流れ出したのは、買った店でよく流れていた、いま人気の海外アーティストグループの曲。
いつも通りの帰り道。いつも通りの変わらない日々。
そんな当然が、今日に限ってぶち壊された。
今にして思えば、俺はもっと警戒すべきだったと思う。
──雨の日は、俺に予期せぬことを運んでくるのだから。
その今回の雨の日に起きた出来事は、俺の生きてきた人生の中でトップ三に入るぐらいに、厄介な出来事。
そうさ、何故なら──
何故なら、血塗れの状態で倒れた少女が居たのだから。しかも雨ざらし状態で。
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