初めっからピンチでクライマックス

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 血にまみれ、倒れている少女。  突然のあり得ない出来事に、しばしフリーズしてしまった俺だが、咄嗟にでた判断で傘を投げ捨てイヤホンを取り、ズボンのポケットから携帯を無造作に引っ張りだし、すぐに119と緊急コールを押そうと、 「あっれぇ? おっかしい~なぁ。邪魔されないよう、ここら一帯に人払いを掛けたのに、なーんで人が居るのかなぁ?」  した時、後ろからやけに気の抜けた、無邪気な声が掛かる。  突如とした声に驚き、軽く身体が震えつつも後ろを振り向く。  声の主は、なんと言うか、その……とても先進的で、かなりファンキッシュな格好をしていた。  こんなご時世、中年のおっさんが小さな少女に道を訊ねただけでお縄の時代……ワンピース並みの大きさもある雨合羽の中に、水着だけを着た女性は、そんな社会に対する反抗のアンチテーゼなのだろうか。  自分で言ってなんだが、意味が分からん。  きっとかなり混乱しているのだろう。  傘を差さなければ確実に次の日は風邪を引くコースな雨の中、雨合羽に備え付いているフードを使っていないようで、びしょ濡れな頭部。  ──ただ、その女性は格好が変なだけの人間で終わってくれなかった。  左手に、水色の槍をその手に持っていた。両先端づつに片刃の刃の付いた、とても奇妙な槍。
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