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無計画なのは仕方無い。本当なら今ごろ……何ごともなく、帰路を歩いているのだから。
目の前の女性の持つ凶器に気を付けつつ、ゆっくりと、ゆっくりと後ろへ下がって行く。
しかして身体は、いつ襲われても一撃程度なら回避できるように身構えておく。
「うーん。どうしょっかぁ~。ねぇ、どうしましょ~う」
だが幸いなことに、女性は独り言をブツブツ呟きながら、何かを考えているようで、俺の行動には気付いていない。
このまま近付き、抱えて逃げれば良いんだ。シンプルな作戦が一番成功しやすいのだ。
──よし、いける。
心の中で意気込みをした瞬間。
「そうですねぇ。見られたからには、ここでアイツもろともこの人も一緒に殺っちゃいましょうか」
聞こえた言葉に、俺は大きく耳を疑った。強い殺気を感じ、女性の方を見ると……槍を水平に構えて此方へ向かおうとしていた。
いかん、突進が来る。思考が槍の持ち方と構えを見たと同時に結果を導き出しており、ゆっくり下がるのを止めて、バックステップで一気に倒れている少女まで近付く。だがまだ距離はある。
腕力等なら確実に負けない自信はあるが、いくら相手が女性でも武器を持った相手に素手は勝ち目は薄い。
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