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リビングに向かうと、そこでは店主でありシフール家の代表でもあるテイル・シフールが朝食をテーブルに運んでいた。
エプロンをしており、穏やか表情で食事を運んでいる姿は、男性ながらとても板についていた。
「あぁ、おはよう。アリエスくん」
「おう、はよ。悪いな朝飯まで」
「食事は大勢の方が楽しいと言ったろ?気にしないでくれ。すぐ準備出来るからね」
「お、運ぶんか?手伝うぞ」
アリエスはキッチンへと向かい、アンナが持とうとしていた皿を二つ両手に持つ。
おずおずと手を引くアンナがアリエスを見上げると、彼はニッと笑って皿を運ぶ。
その笑顔がまぶしくて、アンナは思わず視線をそらして別の皿に手を伸ばす。
そして、全ての皿をテーブルに並べ終えると、三人はこたつに足を入れて食卓を囲む。
「「いただきます」」
全員で手を合わせてから箸を手に取る。
「おぉ!おっちゃんは料理うめぇな!」
「そうだろう?昔から鍛えてきたからね」
「うんうん、こりゃうめぇわ」
嬉しそうに次々と箸を伸ばして口に運んで行くアリエス。
その食いっぷりに満足したのか、テイルは嬉しそうに微笑んでいた。
小食なのか、アンナは少量の食事を取ってからはパクパク食べるアリエスを呆然と見ていた。
「そういえばアリエスくんは今日はどうするんだい?」
ふと食事の途中でているが尋ねる。
アリエスは口の中で咀嚼しているものをしっかりと飲みこんでから答えた。
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