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「15日か。なら、それまでに何とか片付けねぇとな」
アリエスは自分に言い聞かすように呟き、食べ終わった皿と箸を置いて手を合わせる。
「ごっそさんです!」
「はい、おそまつさま」
アリエスは食べ終わった食器を重ねて持ちあげる。
それに反応するようにアンナも空いた皿を重ねて行く。
「お、サンキュ」
「い、いえ」
そして二人で空いた皿を全てキッチンへ運ぶ。どうやら調理はテイル、片付けはアンナという風に役割分担が形成されているようだ。
手伝おうにも洗い場に二人分立てるスペースもなく、アリエスは出かけることにした。
「じゃ、おっちゃん。俺はちょっと出てくるよ」
「あぁ。夕食も食べてくかい?」
「是非もらうよ。それまでには帰る」
「了解。気をつけてね」
「おうよ!アンナも、行ってくるなー」
キッチンの方のアンナにアリエスは少し声を張り上げて伝える。
すると、奥の方からバタバタと音がしながら、アンナの姿が見える。
エプロンで手を拭きながら慌ててリビングに顔を出すアンナが。
「い、いってらっしゃ…い」
「おう」
アリエスはニッと笑みを返してから、二人に挨拶して宿屋フールを出た。
宿の外は相変わらず極寒の寒さだが、今日は天気もよくまだ温かい方だ、とすれ違った奥様方が離しているのをアリエスは聞いていた。
「これで暖かいのかよ…」
げんなりしながらも、アリエスはとりあえず周囲を見渡した。
雪に覆われた木製の建物が多く並ぶジュエル・シティの街並みは果てしなく広い。
このシアノス諸国最大の街と言うだけはあり、流石に全部を回るのは難しいだろう。
確かにこの街全土でやる祭はさぞかし大規模なことだろうと、アリエスは今から期待を胸にしていた。
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