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「さってと、祭までには片付けねぇとな」
今から氷艶祭に期待しているアリエスにとっては、ここでの問題を全て片付けてから祭に参加したいものだ。
とはいえ、霊獣がひそんでいる場所など分かるわけもなくアリエスはどこから行こうかとキョロキョロ見渡していた。
すると、アンシャルが。
『盟主よ、この街に入る前に見えた大きな山があったじゃろう?そこへ向かうのじゃ』
「山?あー、そういやでかいのがあったな」
聞き返すアリエスの言葉に答えたのはアポロンだ。
『ディアナはけっこう人気のないところにいるんだよ。というより霊獣が、かな』
『うむ。霊獣の力は封印されていようが少なからず影響を与える。ゆえに無意識と人のいない場所を拠点にする。特にディアナは守護意識が強いのでな、間違いなく街には存在しないだろう』
「ほう。それはいいこと聞いたな」
などと非常に有効的な情報を仕入れたアリエスは、山へ向かうためにジュエル・シティの出口へと足を向けた。
街を出るとやはり広がっているのは雪原のみ。
それも白以外何も見えない。
強いて言うなら遥か上空に広がる空の青だけだろうか。
「気が遠くなりそうだな…」
などとぼやきながらもアリエスは歩を進めた。
するとその時、背後から、すなわちジュエル・シティの出口から出てくる人物の気配を感じ取った。
アリエスはふと軽く振り返る。
すると、そこに立っていたのは昨日出会った騎士だった。
「クラッド・アーク…」
「む?アリエス・シュタイナー?何をしている?」
「何でもいいだろ、散歩だよ散歩」
「街の外までか?」
「そ、そうだよ」
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