接触

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アポロンの言葉に適当に答えたアリエスが全身の炎を拡張させていく。 そして再び爆音が天空に響き渡った瞬間、今度はアリエスがべリスの眼前に姿を見せる。 姿勢を低くしたまま大きく振りかぶった拳が下段からべリスめがけて突き上げられる。 だが、雷を纏うべリスの速度は遥かに上昇している。 自然属性最速の力を持つ雷を超える自然属性は未だ発見されていない。 炎属性はあくまでも破壊の力。 アポロンが神速の霊獣とはいえ、雷属性を使いこなしているべリスの前ではやや劣る。 べリスの雷速がアリエスの拳を回避し再び背後に回り込む。 「ほら、背中ががら空きだぞ」 「ばーか、何のために無駄に大地に煉獄を広げてると思ってんだよ?」 ニヤリと笑みを浮かべるアリエス。 刹那、べリスの足元の煉獄が突如槍のように突き上がる。 とっさに回避するために上空へ回り込むべリス。 だが、その先には既にアリエスが回り込む。 「おせぇぞ!!」 ゴッ!! 勢いに乗せた周り蹴りがべリスの肩に直撃する。 声を上げる間もなくべリスは彗星の如く速度で地上に落下し、大地に深くめりこんだ。 展開している煉獄は全てアリエスの支配下にある。 アポロンの影響で煉獄の炎が一斉に溢れ出てしまうリスクは生まれるが、反面それを制御するだけの神力を持つアリエスにとっては好都合の武器にしかならない。 圧倒的な速度と、圧倒的な力の両方を扱う。 これこそが『煉獄帝王』アポロンの最善の使い方と言える。 かつての『聖人の帝』シオンには、アポロンを完璧に扱えるだけの神力がなかった。 だからこそ『煉獄帝王』の実力が公には出ていなかった。 しかし、今ここに『煉獄帝王』アポロンの力が証明されたと言ってもいいだろう。
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