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しかし、暴風を巻き起こすように煉獄の海からべリスが姿を巻き起こす。
無論、その程度で倒れるとはアリエスも思っていない。
べリスは煉獄の海から一瞬で上空へ戻り、再びアリエスと対峙する。
「なるほど。炎の爆発力を利用した移動術か。確かに最強の攻撃力を持つ炎属性ならではの技だな」
べリスが感心するようにアリエスの全身に走っている煉獄の炎を見据える。
爆発による推進力で移動する炎属性の移動術。
だが、その制御はあまりに困難で強い力ならばその分だけ困難になる。
ゆえに発想だけはあってもこの移動術を使いこなせる術者はいないだろう。
『炎神』と呼ばれるフレア・シュタイナーですら使うことは出来ない。
「まぁ速い分、扱いも難しいけどね。とりあえず続きいこうか」
「そうしたいとこではあるがな。ここは一旦ひかせてもらおう」
「あん?」
眉をひそめるアリエス。
「今回は貴様の力を見てみたいと思った俺の独断だからな。必要な物も回収したことだし」
「必要なもの?」
「お前には関係ない。これで最後の『72柱』が完成する」
「何?」
小さく呟き眉をひそめるアリエスを見て、べリスはその場から姿を曇らせた。
天空に残っているのはアリエス一人。
周囲に気配がないことを確認するなり、アリエスはアポロンの力を解除する。
それと同時に大地に広がっていた煉獄の海も霧散していく。
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