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ゆっくりと地上に降り立つアリエス。
それを迎えるようにクラッドが歩み寄る。
「今のが霊獣の力か」
「んぁ?おぉ、『煉獄帝王』アポロンな」
「知っている。私が言っているのは、それが本来のアポロンの力かということだ。先代の神ではアポロンをここまで使いこなせていなかったからな」
「あー、そういやさっきのべリスって奴も言ってたけど、お前も『聖人の帝』の仲間だったんか?」
アリエスの質問に、クラッドは小さく鼻を鳴らした。
「ふん。私が付き従っていたお方は『聖人の帝』ではない。四人目の王『創造神』ソロモン王のみだ。あのお方が『聖神の帝』に服従していたゆえ行動を共にしていただけだ」
「ふぅん。まぁ別にいいけどさ。んじゃま気を取り戻して調査開始といきますか」
と、アリエスが雪山の麓をへと歩を進めようとした時。
『まぁ、なんとお懐かしい匂いでしょう』
脳内に響く女性の声。
その声にアリエスは歩を止め、言葉に神経を集中させていた。
「お前が『神眼』ディアナか」
アリエスの言葉に、クラッドも歩を止める。
かつての神と同じように語り始めたその姿に見覚えがあるのか、クラッドは何も聞かずにただただ後ろで立っているだけだった。
『初めまして、ですね。二代目『聖人の帝』様』
「だな。言わずとも分かると思うけど、お前を求めてここまで来た」
『存じております。私としても協力は惜しまない所存ではありますが』
「分かってるよ。発動条件はきっちりクリアしてやる。それまで待ってな」
『はい、お待ちしております。言葉を交わす程度なら可能ですので、いつでもお声をかけてください』
「おう」
誰もいない空に向かって、アリエスはニッと笑ってみせた。
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