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「ディアナが接触してきたか?」
「声だけだけどな。とりあえずディアナがここにいることは今ので確定した。あとは発動条件を満たすだけだ」
「そうか。第三の霊獣か。シオンもそこまでは到達していた」
「聞いてるよ。その先はまだ未知数なんだろ?」
かつてシオンが扱っていたのはアンシャル、アポロン、ディアナまでの三体。
それを超える霊獣は未だ未知の存在であり、冥界の三王ですら知らない。
無論霊獣たちですらどれだけの力となりえるかは知らない。
知っているのは霊獣単体としての実力のみで、それがどのように術者に反映されるかは術者次第なのだから。
「その通りだ。貴様がその先にいけるかどうかは知らんがな」
「行くさ。でなきゃ何も変えられねぇしな」
「変える?お前は何を考えて」
「さぁてね。で、魔力計測器は?」
アリエスに言われ、思い出したかのようにクラッドはコートのポケットから計測器を取り出した。
魔力計測器に映し出されていたのは変わらない曲線グラフの一直線のみ。
「反応は無しだ」
「俺の『王瞳』も一緒だ。べリスが消えて行った方向に魔力の質が流れてる。おそらく奴の言ってた回収物ってのが今回の調査物だったんだろう」
「ということは、今回の件は冥界が関与していると?」
「そう考えるのが妥当だろうな。多分ここにはもう何もねぇだろう」
周囲を見渡すアリエスが呟く。
その時。
「その通りだぜ、アリエス」
雪原に響き渡る第三者の声に、アリエスとクラッドが視線を向ける。
190程の背丈に、全身を覆う漆黒の刺々しい鎧。
そして背中には背丈を超える程の厚く刺々しい大剣が二本交差して背負われている。
黒い髪は逆立っており、赤い瞳は鋭い。
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