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その懐かしの姿を目にしたアリエスは思わず声を上げた。
「シャノン!?おまえっ、何でここに!?」
「バーカ、お前追いかけてきたんじゃねぇか」
「え、ストーカー?」
「違うわボケ!」
懐かしの感覚とやり取り、そしてずっと共に暮らしてきた兄の大きな笑顔を目にアリエスも思わず笑みをこぼす。
シャノンはニッと笑みを浮かべアリエスの元へ歩み寄る。
「久しぶりだな、アリエス。それに元『聖神の帝』一派のクラッド・アークだよな?」
「何故私のことを知っている?」
「一年前、俺たちは覇王に成すすべなく敗北した。俺たちはそれぞれ今の自分を改めるためにもう一度己を鍛え直してきた。その最中で俺は冥界の情報も集めていてな。まぁぶっちゃけるとこっそり冥界に忍び込んでたんだけど」
「はぁ!?冥界に行ってたのかよお前!?」
予想だにしていなかった言葉にアリエスは思わず声を上げる。
リオズレインと冥界は不可侵条約を結んでいるため、簡単な出入りは出来ない。
おそらく王クラスであろうと厳密な検査を受けなければ出入りは許されないだろう。
「まぁおかげで面白い力は手に入ったけどな。クラッド、あんたのことは冥界で仕入れた。もちろんソロモン王のこともな」
その名を口にした瞬間、クラッドは眉をひそめた。
「あのお方は今ある場所で情報収集をなされている」
「知ってるよ。けど、ソロモン王が味方してくれるとなれば三王との戦いはなんとかなりそうだな」
シャノンとクラッドで進む話に、アリエスは眉をひそめて首をかしげている。
「ソロモン王って何の話だよ?」
「第四の王だよ。もっとも今は冥界から離反してるけどな。もともとは『聖神の帝』の従者だったって話だ」
「え、王様を従えてたの?」
「忘れてるみてぇだけど、お前一応神様だかんな?」
『聖神の帝』は全人類にとって神と同様の存在と言って過言ではない。
その存在が王であるソロモンを従えていても何ら不思議はない。
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