Epi.1

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――S. 「また?」 俺の目の前に差し出された 一枚の"依頼書" 「何か、最近多いよナ  しかも段々ランクが上がってく」 差し出したのは蓮 一応俺はコイツの婚約者、らしい 俺の左薬指に光る指輪が その証拠なんだとかで 迷惑にも程がある 「で?」 「今回は"Antares(アンタレス)"カラ  "雨を取り返してください"、だとヨ」 「雨を?」 領さんが姿を消してから こういう訳の解らない"依頼"が 増えてきていて、 そう、 あの日、俺達を逃がした領さんは あのまま城ごと消えて 未だに行方の手掛かりすら無い状況 「コノ"Antares"は砂漠地帯の街ダロ?」 「なるほど  元々水は貴重なものと  扱われているわけか…」 何らかの原因で 雨が降らなくなってしまった そう考えるのが妥当 「カズと雅は?」 「もう伝えてアル」 「ん、ならもう出発出来るな  "承諾"の返事を送っといてくれ」 「わかった」 蓮は俺の部屋の窓を開けて 腕を外へ出し手を広げる 「行ってコイ」 静かに呟くと 手に黒い靄が掛かって それは段々コウモリのような形に調って バッと羽ばたいて飛んでいく 「いつ見ても不気味だな」 「るせェ」 「さて、行くか  砂漠の国へ」 俺は愛用の白いロングコートを羽織り 腰でベルトで留める ちゃんと黒渕の眼鏡も掛けて 「髪はいいのカ?」 「お前らが居れば問題ない」 鏡に映った俺は 色鮮やか過ぎる紅に染まっている 「陽翔、無理はするなヨ」 「分かっている」 二階から降りて 一階に居た二人と 俺達は家を後にする .
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