Epi.3

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「蓮ッ!!!」 ただひたすら 刃を避けながら 仲間の名前を叫ぶ 「カズっ、雅!!!」 幻だとわかっていても 身体に刻まれた記憶が 恐怖を生み出していく 『どうした?  殺さないのか?  あの頃のように  舞い踊って魅せてくれよ…』 頭に響く声が 俺を過去へと引き戻していく 徐々に身体に 傷が増えていく 『化物は…――』 左頬の傷痕が疼き出す 今ここで皆殺しにしたら 俺はどうなる? 本当に鬼に成り下がるだろうか 「仲間は…居ない」 誰も、見ていない 『観念しなッ!!』 振り落とされた刀を 素手で掴んで止める 「こんな幻…」 跡形もなく焼き払ってやろう 目の前の男の顎を 蹴り上げてさらに 腹に蹴りを入れて飛ばす 次々と掛かってくる奴等には 火の海を展開させて 近寄れないようにする 『桧沢ぁあッ!!!』 「…ッ」 炎を纏いながら 掴み掛かって来た篝に 反応出来ずに 肩を掴まれて 地面に押さえ込まれて ――…熱い…? 幻なんじゃないのか…? 「くそ…」 身体を捻りながら 蹴り飛ばして さらに距離を置く 『敵は一人じゃないだろ?』 「――!!」 真後ろから聞こえた声に 振り返った瞬間に 身体に走った 焼けつくような痛み 「…、は…」 どうして幻に斬られて 痛みを感じるんだ? 足元に落ちる紅い雫は 確かに俺から零れたもので 「幻じゃ…ない…?」 振り上げられた刃の数々 『"焔鬼"討ち取ったりィ!!!』 こんなとこで… .
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