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人類は科学により、その文明を著しく発展させてきた。
鳥の翼があるかのように空を飛ぶ。
魚のエラやヒレがあるかのように海を泳ぐ。
肉食獣の強靭なバネを備えた足があるかのように陸を走る。
モグラなどの穴を掘る腕があるかのように地中を進む。
しかし、発達しすぎた科学文明によって、それまで築きあげてきた叡智は完全に滅び去った。
その時、人類はその内に秘めていた力に目覚める。
その力とは『魔法』。
皮肉にも、科学の時代の前にお伽噺となっていたものに、人類は救われた。
そして数世紀の時間をかけて、再び立ち上がる術を身に付けた人類は、世界のあちこちにある国家を解体、再編成した。
現在から約1000年後の31世紀にそれは完了し、西暦3001年を新たな紀元として
『N.C(New Century)暦』、通称「新暦」を作った。
その中の一つ、旧欧州地区に存在する国家がある。
名を『ヴェストニア魔法魔術共和国』
そしてN.C暦796年(西暦3796年)、この世界には、不運にも神に祝福された一人の少年がいた……
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