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「答えろ……」
今度はその隣にいた帽子を被った男が口を開いた。
スキンヘッドの男と比べこっちはどちらかというと細く引き締まった体系だ。
だがTシャツ短パンから見える両腕両足の筋肉のしまり具合は、かなり見事なもの。
特に足の脹ら脛の筋肉が目立つ。
ただのチンピラではないのは確かだ。
「おい、黙ってないでなんとか言ったらどうだ?」
大柄な男はそう言って俺の襟首に手をかけようとしてきた。 が、隣にいた帽子の男がその手をすぐさま横から掴む。
「おい、資料を読んでないのか? こいつは護身術をやっているんだ、油断するな」
資料?
「あん? お前こそちゃんと目を通したのか? こいつは心臓に重い病気を抱えてんだよ、まともに動けるわけねえだろ」
どうやらご丁寧に下調べ済みらしい。 ただしちょっとだけ誤植があるみたいだが、
「その資料とやら、ちょっと間違ってるよ。 俺は心臓を患ってるわけじゃない、生まれつき心臓が弱いだけだ」
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