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俺はそう言ってから、わざと肩をすくめて見せた。
「おいおい、やっと口を聞いたかと思えば随分生意気な口だな。 自分が今どういう状況にいるのか、それくらいも理解できねえおつむじゃねえだろ?」
「まあね、大体の察しはつくよ。 大方あんたらは親父の会社絡みだろ、誰に雇われてるかは知らないけど、よくもまあこんな朝っぱらから来たもんだね、ご苦労さん」
と強がって言ってみたものの、屈強な男二人がかり、流石にこの状況はあまりよろしくない。
実は昨日親父と喧嘩しちゃって、倉太刀家から絶縁されちゃってるんだ、てへ。
なんて事が通じるような相手には見えない。
左はともかく、右はいかにも頭脳筋ですってタイプだ。 言った瞬間にぶん殴られそうだ。
「まあそう言うなよ、一緒に来てもらうだけでいい。 なに、俺達のクライアントとお前の親父さんとの商談がうまくまとまれば、すぐに解放してやるよ」
親父との商談?
それを聞いて思わず俺の口に笑みがこぼれた。
「何が可笑しい……?」
不審に思ったのか、帽子を被った男が俺にすかさず尋ねてきた。
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