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『結城、近藤さんの部屋に来てくれねぇか?』
土方に呼ばれたのは、卯月も半ばのころ。
いなくなった静紅を探して数ヶ月。沖田も斎藤も他の隊士たちも探しているが見つからないままである。
「結城だ」
「ヤスか、入ってくれ」
結城が部屋に入ると、近藤と土方、山南がいた。大幹部のみだ。
「…物々しいな。何かあったのか?」
「吉田ら倒幕派連中の動向がわかった。奴等、近々動くぞ……それと、」
近藤はそういうと、少し気まずそうに土方に視線を送った。山南も何故か表情を落す。
「俺かよ……静紅らしき人物を発見した」
「!…どこに!?」
ストッ
「え?山崎……?」
天井裏から軽い音で舞い降りた黒い影は、久方振りに見た山崎だった。いきなり現れた山崎に驚いたが、静紅という単語に目を見張った。
「俺が命じて京の街に潜入して、奴等の動向を探っていたんだ。…極秘事項だ」
「私も知りませんでした」
と、山南は苦笑した。
「俺と近藤さんと山崎だけだよ。山崎、説明してくれ」
「…俺は、この数ヶ月街中の旅籠を転々していました。倒幕派の動きも色々と探ることができました。その中で、静紅はんに似た女を見つけたんです」
「で、どこにいるの!?」
「それが…」
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