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「そ、それが…?」
「八百比丘尼の話のね、その後の話なんだけど。
噂によると実はその子孫がいるらしいんだ。…いや、そんな柔らかい話じゃなくて”比丘尼が往生したあと、その肉を食べた”んだって」
静紅の顔が強張った。
「つまり…」
「そう、その人も800年の歳を手に入れたんだ」
紫折の意図は分からないが、ぞっとする話だった。
「禁断の肉を食べた。その人は呪われた。……死ねないんだよ。
死んでも覚醒するんだって。記憶を捨てながら生き続けてるらしい、もう自分が何者かも分からないだろうね」
「………」
しばしの沈黙が流れる。紫折はふぅと息を吐いた。
「…吉田?こんなところで何してるんですか?」
「桂さん……別に。さぁ、今夜は忙しいよ」
すぱんっ
「稔麿さん?」
「おいこら秋二朗、お前こんなとこで油売ってる暇あるわけ?」
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