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日が西の空へ消えた。
…今日の夕焼けは、とても朱かった。明日はきっと晴れるだろう。
しかし、とても不吉なものを感じる。
静紅は結局部屋から動けずにいた。日が沈んだ西の方を暫くじっとみていた。
「……!」
通りの奥の方からこちらへ向かってくる人だかりが見えた。浅葱色の羽織をはためかせ、あれは……新撰組だ。
どういうことだろうか。
巡察にしてもここらでは見掛けないし、通らないはず。このまま進めば池田屋へ行く。
そうか、新撰組には今日倒幕派が会合することは知られていたんだ。
「やだ……駄目、です!」
新撰組と倒幕派がぶつかる。斬り合いになる。
静紅は独り言にしかならない言葉を口にしながら、慌てた。
…どうする?新撰組を止めるか、池田屋に向かうか。
新撰組一行が近付くにつれて面子がはっきりしてきた。
結城さん…!!
暫く見ない内に何だか痩せた気もする。
ふと、道の真ん中に立つ女がいる。新撰組が通ろうというのにどういうつもりだろうか。
静紅はその女と目が合った。
「( 行きな!)」
静紅は旅籠から飛び出した。
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