*Episode・11*

2/13
165人が本棚に入れています
本棚に追加
/250ページ
「……………」 「…あ……?」 静紅が消えることも結城が回復することもない。 不可思議な沈黙が続く中、静紅の言葉に結城は目を見張った。 「…もしかして、私は昔…結城さんに会ったことがあるんでしょうか?」 「なっ…!? 俺の記憶も曖昧なんだが、昔江戸で、鈴の音と一緒に記憶してる女はいる。……そいつなのか!?」 結城は声を上げたが身体が軋み渋い表情を浮かべる。 懐から鈴を出した静紅は眺めながら言う。 「わかりません。 ”静紅”になる前の私を覚えてはいないんです。でも、この鈴をくれた方は……吉田稔麿、さんだと思います…名前が彫ってあります」 静紅は鈴を結城に手渡した。 ”トシマロ・ヒサナ” 「ヒサナ……?」 「吉田さんの恋仲の名前です」 「それじゃあ…」
/250ページ

最初のコメントを投稿しよう!