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「……………」
「…あ……?」
静紅が消えることも結城が回復することもない。
不可思議な沈黙が続く中、静紅の言葉に結城は目を見張った。
「…もしかして、私は昔…結城さんに会ったことがあるんでしょうか?」
「なっ…!?
俺の記憶も曖昧なんだが、昔江戸で、鈴の音と一緒に記憶してる女はいる。……そいつなのか!?」
結城は声を上げたが身体が軋み渋い表情を浮かべる。
懐から鈴を出した静紅は眺めながら言う。
「わかりません。
”静紅”になる前の私を覚えてはいないんです。でも、この鈴をくれた方は……吉田稔麿、さんだと思います…名前が彫ってあります」
静紅は鈴を結城に手渡した。
”トシマロ・ヒサナ”
「ヒサナ……?」
「吉田さんの恋仲の名前です」
「それじゃあ…」
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