*Episode・13*

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「ゆ、結城さん、近いです…」 額がくっつくくらい詰め寄る結城は、ごつっと額を当てた。 「や・す・は・る」 「あ…やす、泰遥さん…!」 「よく出来ました」 ちゅっと額に口付けして、顔を離した。 少し驚いた静紅だったが、やきもちをやいてる結城がどうにも可笑しくてくすくすと笑う。 「…なんだよ、噛み締めるように笑うな。恥ずかしいだろ」 「だって…ふふっ、…可愛くて」 結城は照れながら、静紅の両側の頬をむにっと摘まんだ。 いつにない穏やかな時間が過ぎる。 日もだいぶ傾いてきた。 ……… ……… 「…母上、泰遥の隣いるのは結局誰だい?」 「母も聞いてないのです。誰でしょう?」 夕食の用意が出来たと呼びにきた母親と孝治は、部屋から応答がないので勝手に開けてみたところ、結城と静紅が寄り添って昼寝をしているところだった。 ちなみに、父親の部屋の時から静紅に一切目もくれないで寸劇(?)をしていた次第である。 「“静紅“という名とは聞いた。伴侶か?」 「まぁ、それはおめでたいですね」 「勝手に出ていって、勝手に伴侶をもらって…自由過ぎやしないか。許嫁はどうす、」 「黙れ!」 寝ていたと思われた結城が、かっと目を見開き手近にあった座布団を孝治目掛けて投げつけた。 静紅も皆の会話で目が覚めて、ふらっと起き上がった。 「許嫁…ですか」 「っ…、いないぞ、そんなもん」 結城は孝治を睨み付けた。
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