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「よろしく、お願いします!」
静紅はふふっと微笑み結城の不安を払拭するように、自分から抱きついた。
「お前っ、お願いしますじゃ、」
「違うんですか?」
「……違わない」
結城は慌てたが、ぎゅっと静紅を抱き締め返した。静紅は顔をあげて口を開いた。
「泰遥さん、私は支えられるように頑張りますね」
結城は無言のまま、口付けた。
幸せなひとときは……
──あくまで“ひととき“でしかなかった。
月日は経ち、新撰組江戸部隊も着々と人が集まりつつある。拠点は試衛館に程近い空いていた道場を使っている。
近々土方たちが江戸に行くという書簡が届いたところだった。
「やっと合流できるんだな」
結城は書簡に目を通しながら、ため息をついた。隊士たちは土方たちに会えるのが嬉しいのか道場内は浮き足だっている。
「泰遥さん、顔色が優れませんね」
「あぁ……山南さんが、死んだそうだ」
脱走して、切腹って…どういうことだ。何があったんだ。結城は書簡を握りしめていた。
「おかしいよな……少しずつ人が減ってきている。藤堂も…、何なんだよ。ゴホッ」
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