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最近になって結城の体調も不安定がちになっていた。結城は忌々しそうに口を拭った。
「泰遥さん、少し休まれたらどうですか?」
「んー…問題ない」
不安そうな顔の静紅の頭にぽんと手を置いた。差し出されたお茶を飲む。
…どうすれば良いのだろうか。すべきことは何か。
思案しながら沈黙していた。
「おぅ、結城。邪魔するぞ」
「お久しぶりです。結城さん」
近藤、土方、沖田、斎藤が新撰組江戸部隊の道場に到着した。運の悪いことにその日、結城は寝込んでいた。
「お前、また寝てんのか」
「着いて早々小言かよ。ただの風邪だ」
枕元に控える静紅が複雑そうな顔をしている。土方はため息をついた。
「ったく…静紅も久しいな」
「はい、皆さんも元気そうで何よりです」
「静紅さんにまた会うことができて嬉しいですね」
しれっと本音をこぼす斎藤に戸惑い気味の静紅だったが、沖田が急かさず妨害に入る。
「斎藤さん…。僕を差し置くなんて100年早いですよ?その口聞けなくしてやります。
静紅ちゃん、僕は貴女に会いにきました。どれだけ待ち焦がれたか、」
「おいこら、てめぇらは何しに来たんだ」
頭上の不毛な言い争いに呆れつつ、懐かしさを感じていた結城だった。
それから数日の間、土方たちは道場に滞在した。その間、隊士たちの実力等を見定めている。試衛館の後ろ楯もあってか、なかなかな精鋭たちの集まりに土方も満足げだった。
「……申し分ないな」
「何か言ったか、土方」
結城は動けるようになって、土方と道場内を端から眺めていた。
「いや、よくやったなと思ってな。新撰組に良い人材が集まった」
「土方の義兄さんのおかげだ、商いが家業のうちではこうはいかなかったな」
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