*Episode・13*

12/13
165人が本棚に入れています
本棚に追加
/250ページ
最近になって結城の体調も不安定がちになっていた。結城は忌々しそうに口を拭った。 「泰遥さん、少し休まれたらどうですか?」 「んー…問題ない」 不安そうな顔の静紅の頭にぽんと手を置いた。差し出されたお茶を飲む。 …どうすれば良いのだろうか。すべきことは何か。 思案しながら沈黙していた。 「おぅ、結城。邪魔するぞ」 「お久しぶりです。結城さん」 近藤、土方、沖田、斎藤が新撰組江戸部隊の道場に到着した。運の悪いことにその日、結城は寝込んでいた。 「お前、また寝てんのか」 「着いて早々小言かよ。ただの風邪だ」 枕元に控える静紅が複雑そうな顔をしている。土方はため息をついた。 「ったく…静紅も久しいな」 「はい、皆さんも元気そうで何よりです」 「静紅さんにまた会うことができて嬉しいですね」 しれっと本音をこぼす斎藤に戸惑い気味の静紅だったが、沖田が急かさず妨害に入る。 「斎藤さん…。僕を差し置くなんて100年早いですよ?その口聞けなくしてやります。 静紅ちゃん、僕は貴女に会いにきました。どれだけ待ち焦がれたか、」 「おいこら、てめぇらは何しに来たんだ」 頭上の不毛な言い争いに呆れつつ、懐かしさを感じていた結城だった。 それから数日の間、土方たちは道場に滞在した。その間、隊士たちの実力等を見定めている。試衛館の後ろ楯もあってか、なかなかな精鋭たちの集まりに土方も満足げだった。 「……申し分ないな」 「何か言ったか、土方」 結城は動けるようになって、土方と道場内を端から眺めていた。 「いや、よくやったなと思ってな。新撰組に良い人材が集まった」 「土方の義兄さんのおかげだ、商いが家業のうちではこうはいかなかったな」
/250ページ

最初のコメントを投稿しよう!