*Episode・13*

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結城は道場を見渡して今後に期待を膨らませていた。 ──そんな、矢先の出来事だった。 深夜、寝付いたころにふと目を覚ました結城。外から燻ったような臭い鼻を掠めた。 「……?…っ!!まさかっ、」 飛び起きて戸を開けた。…真っ赤な炎が視界を覆った。 「道場が……燃えてる…」 今宵は、道場の離れで寝ていた。…どういうことか?何故、火があがっているのか。 とにかく火消しをしなくてはならない。火は勢いを増すばかりだった。 「静紅!起きろ!!……静紅?」 布団を剥いだが、隣で寝ていたはずの静紅の姿が見えない。 離れを飛び出した。 「こんな時にどこに行ったんだ。 …静紅!どこだ静紅!!」 「結城!よかった無事か。これは一体どういうことだ!?」 土方たちが駆けつけてきた。 「俺もわからねぇ。…静紅がいないんだ」 「何だと!?とにかく道場の火消しにかかるぞ」 騒ぎに駆けつけた者たちで、辺りは騒然としていた。 「あれは…」 「…え、結城さん」 「おい!止めろっ…」 結城が燃え盛る炎の中に見たのは、縁側にあった静紅の草履だった。 土方と沖田の制止を振り切り火の中に飛び込んだ。
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