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にこにこ笑う静紅をじっと見た。その視線に気づいた静紅は少し戸惑う。
「……何か…?」
「いや…死にたいなんて思うんじゃねぇよ、人はいずれ死ぬんだ。死に執着したって意味はねぇ。まぁ俺達は明日の命も保証されない中で生きているがな。
…"死"からは逃れられねぇんだ」
結城は廊下から庭の遠くの方を見つめてそう言った。
静紅の目にすっと影が落ちる。
「"死"、ですか……
私は"生"から逃れられない……………」
「……?」
なんとか聞き取れるくらいの声で静紅は呟いた。
――この言葉の意味を知ることになるのは、ずっと後の話…
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