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斎藤は大柄な男ではないが、静紅をすっぽりと包み込めるくらいの体格差はある。
静紅が顔を上げると斎藤の顔が上から覗き込んだ。徐に顔に掛かった前髪を退けられ、斎藤の少し冷たい手が顔を這い、斎藤の切れ長の目が艶めかしく見つめる…静紅の心臓は早鐘のように打っていた。
「……ッ…」
「斎藤!!いたか!?」
「静紅ちゃん!!」
斎藤の後方から結城と沖田が走ってきた。斎藤は静紅を離し振り返る。
「いた」
静紅はちょこっと顔を出した。
「すいません…」
「ったく、世話かけさせるんじゃねぇよ」
「んもう!!結城さん怖いですよ、静紅ちゃん無事でよかった!」
はぁ…と溜息をつく結城は頭を掻いた。
「帰るぞ」
そして4人はようやく屯所へ帰った。
後ろの方をおずおずと歩く静紅が、斎藤を見つめながら頬を赤らめていることは…斎藤は知らない。
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