第二章 御園生の助言

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「梨菜、今帰りか?」 「薫先輩、お疲れ様です」  社員寮フロアーの廊下で、声をかけられ梨菜は立ち止まった。  御園生薫。  梨菜の先輩にあたるインスペクターで、今は都心にある高級料亭の厨房に潜伏して調査をしているやり手の社員だ。  その敏腕ぶりは羽村の太鼓判付きで、彼もどことなく羽村と似た中性的な容姿を持っている。  時折見せる小悪魔気質はどこへいっても異性の注目を集めていたが、当の本人は全く興味がない素振りで、仕事に利用できそうなことだけかいつまんで情報を入手していた。
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