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「やはりそうか……ああ、わかってる。まさかこんなところであの残党と巡り会えるなんてな」
羽村は携帯を片手に煙草の紫煙を燻らせながらF.S.I本社の屋上に一人いた。
夕日も半分傾いて東の空は既に闇がかっている。
緩やかな風が、羽村の中途半端な長い髪を撫でていく。
「もう調べはついている。ああ、私には優秀な部下がついているからな、うまくいけば今夜が大捕物になる。そっちもせいぜい首を洗って待っていろ」
ピッ。という機械音とともに通話を切る。
羽村は、しばらく携帯を握り締めたまま動かなかった。
「ダークドロップ……か」
羽村はポツリと呟いて、踵を返すと携帯をポケットに突っ込んでその場を後にした。
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