第十章 料理に潜むもの

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 高坂の様子は明らかに何かを隠している。  梨菜はそう直感した。  表情をこわばらせている高坂の言葉を遮るように、溝口が言う。 「オーナーが仕入れから戻ってくるまでにこの仕事終わらせておけ」  溝口は仕込み用の野菜を梨菜に押し付けると、高坂を一瞬睨んだように思えた。 『仕入れって? こんな時間に? 夜の九時回ってるのに……』  嫌な予感を胸に抱きつつ、梨菜は押し付けられた野菜に目を落した。
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