第十章 料理に潜むもの

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『こ、こんなものが……混ざってるなんて!』  水道の蛇口を止め、肩で大きく息をしながらシンクの縁に手をついて高ぶった身体を落ち着かせた。  このクラブで最初に感じた違和感の出処はこれだったのだと思った。  すれ違う客はどことなく虚ろな感じで、突発的に騒いだり、感情をコントロールしきれていない輩が所々見受けられたが、全て酒で酔っているせいだと勝手に解釈していた。 『第六感のようなものが働いて俺たちにも勘づくようなことがあったりするんだ、梨菜にはその洞察力が足りない、誠は多分そういうことを言いたかったんじゃないかな』
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