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「…ホテルの前でサカッてんなよ、みっともねぇ」
キスされる、そう思って恐怖に目を瞑った私の真後ろで低い声がしたかと思ったら、大きな手で口を塞がれた。
「モガッ?!」
そして、私の身体は先輩からべりっと剥がされる。
近付いた時だけ香る男物の香水、これは…。
「ったく、いい大人が…。既婚の元上司がうちの大事な秘書に何の御用ですか?」
社長…!!
思わぬ人物の登場に先輩の目もしばし点。
「…または、お前が望んだのか?杏奈」
とっ、とんでもない!!私は首を思いっきり左右に振った。
「なっ、おま…交換条件だろ?!」
慌てた様子でつっかかってくる先輩を、社長が制した。
「へぇ、うちの秘書が身体を張るなんてどんな交換条件でしょうか。是非お聞かせ願います」
「それは…っ」
と、先輩がたじろいだ。
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